chu-ken.info/text/2008

プロカウンセラーの聞く技術

中島義道著”「哲学実技」のすすめ”を読んだ。日本人哲学者で、カントの道徳哲学を下敷きに語らせたら右に出る者がいないと有名であり、また典型的変人哲学者でもある中島さんの本を読むのはこれが始めて。どんどん常識的な感覚を持った善良な受講者が消えていくというスタイルがおもしろい。

著者が主催する勉強会、無用塾を題材にしたフィクションで、中島をそのままモデルにしたようなN先生がどんどん生徒との対話を続けていくウチに、軽蔑され、見限られ、見捨てられていく、そんなお話。

最後にたった一人残った慶応の哲学科の大学院生Aに、N先生自身の自己欺瞞を指摘されて唐突に講義は終了する。

で、感想。つまらなかった。中学生くらいの俺だったら何かしら感じる処が見つかったかもしれないけど、俺も年を取りすぎたのかなあ。

カントの本領発揮な六節あたりでこれから盛り上がるのかなーと思っていたんだけど、大して進展もしないまんま陳腐な展開のまま終わって肩透かしを喰らった気分だ。

なんつーか、頭のいい人って自分にとって論理を突き詰めていった結論として当然だと思ってしまうものが実は他人からしたら全然当然でもないって事、そして、その論理を突き詰めた当然の結論が実は間違っている可能性に気付かない事があるよね。あ、ほんの少しだけ自分自身に突き刺さった。

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