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起業バカ

起業バカ」を読んだ。

全体的に完成度が低く、突っ込みどころが満載の本なのだが、失敗事例を広く浅く仕入れる意味ではそれなりに参考になる。

軽薄な流行に踊らされて、もしくはろくな覚悟も無しに起業に臨んで地獄を見た失敗者たちの事例を豊富に載せている。著者自身が、起業者向け雑誌を創刊するが見事に資金繰りに失敗して膨大な借金と家庭崩壊離婚という経験をしている。

弁当・惣菜チェーンや大手コンビニ、主婦向けの英語教室などなどのフランチャイズビジネスがとんでもない詐欺的な構造になっている話は、生々しくて素晴らしい。

他にも有力ベンチャーが上場企業の詐欺的な手法で乗っ取られた事例、以前書評も書いたハイパーネットの倒産劇も載っている。「ぷよぷよ」で有名なコンパイルもハイパーネット同様に大手銀行の貸し剥がしによって倒産している(ぷよぷよの商標や著作権は債権整理の時にセガに売却されて今も流通しているが。あとコンパイルが倒産したおかげで型月が生まれ、月姫やFateなどの作品が供給されるようになったのだ、という見方も可能なのだが)。このへんのデットファイナンスの危険性ってのは、やはり金融の知識が必須なのだな、と感じさせられる。銀行による借金ではなく、ベンチャーキャピタルみたいな株の予約権を担保するタイプの資金調達でないと、利益相反になってしまう。

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