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とある魔術の禁書目録

「とある魔術の禁書目録」を読んだ。電撃文庫から出版されている、中二病を煮詰めて結晶化し、それを萌え要素という糖衣で包んで錠剤にしたようなライトノベルだ。1巻から16巻まで一気読み。一巻ずつが短いから調子よく読んで気付いたら16巻まで来ていた…。なにしてんだ俺。11から13巻は本屋で見つからなかったので未読。番外短編集のSSとSS2もまだ読んでません。

アニメをちょこっと見て、少し興味を持って手に取った程度だったのだけど、原作を読んでみると結構おもしろかった。

アニメの方は、今まで色んなライトノベル原作をアニメ化して例外なく原作レイプを完遂してきたJ.C.staffだったのが、出来が悪い最大の原因なんだろうなあ…と同情した。

この本が持っている魅力は、些末な設定矛盾よりもある種の「馬鹿な勢い」みたいなものだと思う。それは最近の少年マンガが失ってしまった大切なものだと思う。

このへんをテーマにしてこの作品を読んでみると、単なる中二病小説にとどまらない射程を実は隠し持っている事が分かる。これ以上は自分で読んでみて下さい。

はてなに似た読み方をしてる方がいたので自分の読みも書いてみる。俺の場合は、社会心理学の臨界質量の淵に立っている存在が主人公の上条さんだ、という読み方だ。

一種の不可視、ブラックボックス化したメカニズムを動力として、動く存在、上条さんのように感情のままに合理性を無視して動く存在は、もちろん物語の中でしか許されないのだが、社会全体を大きく変化させるようなハブというのはそういった動作と幸運が重なって発生する。

この物語は、合理性に自閉しないでがむしゃらに動く事のメリットを暗示しているという事だね。そうやって馬鹿な愚行の積み重ねによって、人間のつながりが生まれ、社会の臨界質量に達した時、世界が変わる。

ほんと、これを読んでる現役の小学生・中学生はちょっとうらやましいね。高校生くらいだと様々な矛盾とかが鼻についてテーマに思い至らずに投げ捨ててしまいそうだ。

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